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Talk with 高野浩幸対談集
第2回 劇画作家 さいとう・たかを先生 Part1
(2001年 さいとうプロダクションにて)
Part2へはこちらから

GuestTakawo Saito
Profile劇画作家。
株式会社さいとう・プロダクション代表。
劇画作家として今年で47年目をむかえる、日本漫画・劇画界の重鎮にして第一人者。
『超人バロム1』、『ゴルゴ13』、『鬼平犯科帳』、『無用ノ介』ほか、数多くの名作を生み出し、今なお活躍中の巨匠。
門下生からは川崎のぼる、小山ゆうほか、数知れぬ人気作家を輩出している。
2003年、芸術文化貢献を彰され、紫綬褒章受章。
30年の時を経てついに、超人バロム1の生みの親、さいとう・たかを先生と白鳥健太郎が再会。
友情のバロムクロスは、人間愛のバロムクロスに。
時を超え、21世紀に語られる超人バロム1秘伝!
野:「先生、お久しぶりです。本日はお忙しい中、ありがとうございます」
さいとう:「いやいや、懐かしいね。どう、元気にしていますか?」
野:「はい! 先生、今日はこんな写真をお持ちしたんですよ。(バロム1撮影開始直前の写真をお見
      せする)」
さいとう:「ん……、どれ……、おぉっ!(バロム1のマスク試作段階の写真を見て、びっくり)いやぁ、こんな
      写真撮られてたんだねぇ。いや、懐かしい。うんうん」
野:「バロム1の撮影開始直前のスチール撮りの写真もあります。30年前の先生のお写真です。
      普通なら『お変わりありませんね』と申し上げるんですが、先生、お変わりになりましたね(笑)
さいとう:「うむぅ……、この頃は100kgくらいあったかねぇ。ずいぶんと時が経ったもんだ。
      自分を見てるだけじゃわからんが、高野君を見ているとそれを感じるよ(笑)」
野:「あっはっは! 30年ですから、健太郎もおとなになりますよ。
      マスクの製作段階をご覧になっている写真ですが、先生、厳しいお顔をなさっていますね」
さいとう:「うむ、面の顔がね、優しすぎたんだな。もっとごつくしろ、と注文を付けたんだよ。
      この段階の造形だと、ひ弱い感じだろ? もっと厳つい(いかつい)、ゴツイ強さを出せ、とね」
野:「バロム1の頭部のデザインなんですが、これは『たかを』の”鷹”の翼のイメージですか?」
さいとう:「うんうん、なんかね、こう、強いイメージも出るじゃない? そういう所を意識してね」
野:「バックルの部分もそうですね」
さいとう:「そうそう。正義の超人だからね、強く見えなき
      ゃいかん」
野:「バロム1の原作版はTV版と違って、人面で
      すよね。僕は原作版のバロム1も好きなんで
      すよ」
さいとう:「(やや困惑した苦笑いを浮かべ)実はね、連
      載開始して2話くらい書いたところで、『あ、い
      かん!』と焦ったことがあるんだよ。『こりゃバ
      ロム1は失敗作だ!』ってね」
野:「えっ?あ……、はい……(返答に困り、吹き
      出した汗を拭く)」
さいとう:「原作版は子供二人が合体変身したら、いき
      なりおとなの顔になってしまう。これじゃ違和
      感があるからね。それでテレビ版はマスクを
      被らせたんだ。これなら人面そのものよりも違
      和感が少ないから。
      結構あるんだよ、書いちゃってから『こうすりゃ
      よかった』とか『○○の方がよかったか……』
      なんて事がね。でも、もう書き始めちゃってる
      から変えられないんだな」

野:「超人バロム1は先生の作品の中では唯一の
      子供向け作品ですよね」
さいとう:「そうだねぇ、私はね、青年向け作品だけを手


▲超人バロム1のマスク制作に立ち会うさいとう先生。クリエーターに厳しい注文が飛ぶ。当時のさいとう先生は、かなり太め。先生いわく「100kgくらいあったかな?」
      掛けていたんだよ。当時は青年誌って無かったから、少年誌に掲載していたんだけど。ヒーロー物
      としては『シャドウマン』という作品もあるけど、これも子供向けの作品ではないんだよ。
      やはりバロム1が唯一の子供向け作品だな」
野:「当時の子供ヒーロー、ウルトラマンも仮面ライダーも大人が変身して、怪獣や悪と戦う設定でした
      けど、バロム1は子供が合体変身する画期的なヒーローでしたね。それも友情パワーで変身です
      から」
さいとう:「う〜ん、当時アイデアとして考え付いたときには、我ながらいいアイデアだと思ったね。
      それに当時は、ああいう形(合体変身)はまだなかったでしょ?
      少年二人の友情のエネルギーが超人を生む。本当に我ながらいいアイデアだったよ」
野:「バロム1は”正義”を戦いの前提に置くのではなく、“友情=人間愛”がまず最初に位置しますよ
      ね。健太郎と猛の友情パワーが失われると、正義の戦いの最中でも変身が解けてしまう」
さいとう:「そうそう。友情が壊れると戦いの最中でも超人ではなくなってしまう」
野:「敵の攻撃によって受けるダメージよりも、コッチの方がバロム1にはコワイわけですよね。
      視聴者の子供達もそうだったと思いますが、演じていた僕も『戦ってるのに、変身解けちゃダメじゃ
      ん』とよく思いましたよ(笑)」

野:「先生、最近は作品での表現で難しい点も多くなっていませんか?
      僕はイベントのスーパーヒーローショーにも出演するんですが、悪役が『死ねぃ!』とか『殺してや
      る』といったセリフを使わないようになっているんです。ショーを見る子供への影響を配慮して」
さいとう:「それはこれから、もっと厳しくなるんじゃない
      かな? 私なんかも、登場人物を描き分ける
      上で、例えばね、ユダヤ人を登場させ、人種
      の特徴として、鼻を高く鉤鼻に描くわけだ。
      ところがこれにクレームが付く。しかもユダヤ
      の人達からじゃないんだよ。
      差別的な意図は無いんだけどねぇ……」
野:「舞台が国際的なゴルゴ13ですから、色々な
      国の人物が登場しますもんね。
      外国人でも人種を外見の特徴で描き分ける
      わけですから、難しいというか、厳しいですね」
さいとう:「言い方はアレだけど、『言葉狩り』にも参っち
      ゃうよ。時代劇なんかはセリフに苦労するね。
      当時の、その時代に使われていた言葉、特に
      格言なんかまったく使えないんだよ」
野:「あぁ、古い時代劇映画を見ていると、『お主、
      “ピ〜”であろうが! 拙者とて“ピ、ピ〜”では
      ないぞ!』なんてなっていますね。これじゃワ
      ケがわからないし、せっかくの緊迫感や演技
      が台なしです」

さいとう:「大型の時代劇を描きたいんだけど、本当の
      言葉、本当の意味での、その時代の言葉が
      使えない。
      まぁ、作品によっては『時代背景、史実を忠実
      に再現するため、当時の表現を使用していま
      す』と事前にテロップを流しているのもあるけ
      どね。誌面ではことわり書きを入れてもダメだ
      ろうな」

野:「先生の作品『無用ノ介』がTVドラマ化されて
      いますよね。伊吹五郎さん主演作品に僕も出
      ているんです」


▲原作版超人バロム1の特製フィギュアを愛でるさいとう先生。このフィギュアは一品物で、世界に1体しかない。厳密には原作版のバロム1を、多少モデファイしてある。コアなファンなら、どこが違っているかわかるだろうか?
さいとう:「ほぉ、そうなの。彼の他にも、高橋英樹さんが演じた『無用ノ介』もあったな」
野:「僕は仮面ライダーやウルトラマンシリーズや、子供番組以外の作品も出演しているんですけど、
      どうしてもファンの方には“高野浩幸=バロム1・白鳥健太郎”のイメージが強いみたいなんです
      よ」
さいとう:「僕の作品で、人一人の人生が変わってしまうんだからナァ。責任重大だ(笑)」
野:「いえ、先生の作品があったからこその、僕の俳優人生ですから」
さいとう:「はっはっは!」
野:「先生、僕もそうなんですけど、僕のファンからも21世紀版バロム1を描いていただけないか
      と……」
さいとう:「そうだねぇ。私は今ね、本当の少年物を描いてみたい、って気持ちは充分持っているんだけど
      ね。でも、私等の商売っていうのは、お座敷が掛からないと、つまり依頼が無いと世に出せないん
      だな」
野:「なるほど。出版社に要望を出すべきなんですね」
さいとう:「そのとおり。少年誌からの依頼があれば、少年物を描いてみたいねぇ。だけど私も忙しすぎてね。
      今、月間 300(ページ)くらいやってるから。
      仲間内でも一番の若手、『釣りバカ日誌』の北見けんいち君が、180で火を噴いてるから(笑)。
      私もこの歳でまだやっていられるとは思わなかったなぁ。ありがたいことだけど、忙しい……。
      私の同世代なんか、もう仕事としてやってないですよ」
野:「少年誌の黄金期を築かれた世代ですねよ」
さいとう:「うん。ちばチャン(ちばてつや氏)なんか、私
      より少し年下だけどあまり描いてない」
野:「川崎のぼる先生も描いてらっしゃらないです
      ね」
さいとう:「川崎クンも描いてないナァ。川崎クンは私の
      一番弟子なんだよ。彼なんか、私より老けて
      見えるよ(笑)」

野:「さいとう先生の門下生と言いますか、先生に
      師事して羽ばたかれた作家は多いですよ
      ね?」
さいとう:「多いですよ。でも、彼等も私ほど枚数は描い
      ていないでしょう(笑)」

▲TV版バロム1のフィギュアを抱いた高野浩幸。さいとう先生の原作版フィギュアに触れたくて、目が泳いでしまう。マニアならずとも、触ってみたい逸品だ。
野:「先生の門下生で第一線で活躍されている、一番若い作家といいますと?」
さいとう:「小山ゆうクンかな? 『あずみ』を描いてる……」

野:「小山先生はもうベテラン作家ですよ〜」
さいとう:「あ、そうだね。いや、どうも私には若手に感じちゃうんだな(笑)」
野:「原作と監修はさいとう先生で、先生の門下の若手作家が現代版バロム1をお描きになるのは
      いかがですか?」
さいとう:「うん!? それはアリだな。そんな話があったら面白い! 出版社との話し合いだがね。
      う〜ん、私が原作で作画を若手に……か。忙しいけど、それならやれそうだね」
野:「ファンは待っています。新世紀の超人バロム1をお願いします!
      僕は実写版で演じさせていただきましたけど、バロム1のアニメ化のお話しはないんですか?」
さいとう:「そうね、引き合いはいくつか来ているけど、まだ構想の段階にも届いていないなぁ。
      原作版のアニメ化……、あってもいいんじゃないかなぁ」
野:「アニメ化が実現したら、変身後のバロム1の声は僕にやらせてください!」
さいとう:「おぉ、実写版の白鳥健太郎だからね。キャスティングで推薦してみますか(笑)」
野:「まだ夢のお話ですけど、いつの日か実現したら、ぜひやらせてください!」

対談から1年後の2002年秋にアニメ「バロムワン」が製作され、2002年12月から2003年3月放映、DVDも発売された。高野浩幸は変身後のバロムワン役とナレーションを担当している。

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