高 野:「テレビドラマ化だけではなく、映画化さ
れた作品もありますね」
さいとう:「うむ。でもね、ゴルゴ13なんかは、『映
画じゃ 出来んような事をやろう』って始
めたんだ。
それを映画化するんだから難しいし、苦
労も多かっただろうね。今は色々と映像
テクニックもあるけど。
私の作品は、当然のことだけど紙の上で
の面白さを考えて描いてるからね。
原作に忠実に映画化するんじゃ、お金も
かかるわなぁ。映像化出来んような作り |
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▲21世紀版の超人バロム1について語る、高野浩幸とさいとう先生。再びメディアで新作バロム1を見られる期待も!? |
なんだから(笑)」
高 野:「現実的には荒唐無稽と言われるような活劇も、劇画なら可能ですね」
さいとう:「今、私が映画を作るなら時代劇。映画向きにストーリーを作って『チャンバラホラー』をやりたい」
高 野:「映画向きにストーリーをお作りになってですか?」 さいとう:「そうよ。映画やテレビドラマにしやすい、映像化向きの作品構成、ストーリーでね。
ほら、今の若手作家の作品がテレビドラマ化されるでしょ? 身近な日常を舞台に。
アレを見ているとね、作家が描いてる原作を読むよりも、テレビドラマの方が面白いんだよ」
高 野:「トレンディードラマですね。ドラマ化されやすいように描いていらっしゃるんじゃないですか?」 さいとう:「そこなんだよ。ストーリー展開が原作に忠実なテレビドラマが、視聴者に受けたとする。
俳優さんの技量や人気もあるけど、紙の上でやってる原作の方が”負けた”って事になるんだよ」
高 野:「そういうものでしょうか……」 さいとう:「紙面上の作品は、受け手(読者)が、細部を読み返すことが出来るんだよ。 壮大で明快なストーリーであっても、細やかな仕掛けを織り込んでおくことが出来るんだ。 若手が挑戦しなくなってきている。調べて描くべき作品を、身の回りのことで済ませてしまう。
男と女がどうしたとか、そういう話ばかり描いてる。そりゃ、テレビの方が面白いですよ」
高 野:「紙面ならでは壮大さ、(読者がページを戻って確認できる)ディテールへのこだわりでしょうか?」
さいとう:「そう。だけど、あまりに大きなスケールや構想で描いて、お蔵入りしちゃった作品もあるんだなぁ」 |
高 野:「と、言いますと?」
さいとう:「ゴルゴ13にはコミックスに収録されてい
ない、欠番のストーリーが何作かあるん
だよ(苦笑)」
高 野:「ビッグコミック(小学館)の誌上には掲載
されているんですよね?」
さいとう:「う……ん、イランのホメイニ氏を覚えて
いるかな?」
高 野:「はい」
さいとう:「ゴルゴで『ホメイニ氏は二人いた』という
ストーリーで描いた話があるんだ。これは
お蔵入り(苦笑)」
高 野:「ははぁ、それで熱狂的なゴルゴファンが
古書店でビッグコミックのバックナンバー
を探しているんですね」
さいとう:「超人バロム1も幻というか、不幸な作品
なんだよなぁ」
高 野:「突然の放送打ち切りでしたから……」
さいとう:「テレビ放映もそうなんだけど、連載誌(講
談社「ぼくらマガジン」)が連載中に無くな
ってしまった」 |
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▲スナイパーGこと、デューク東郷(ゴルゴ13)が二人を護衛?
壮大なストーリー、緻密な取材で綴られるゴルゴ13シリーズは、親子二代でのファンも。さいとう先生には、中学生からのファンレターも届くそうだ。世代を越えた人気を保ち続けるゴルゴ13シリーズ。コミックス(単行本)全巻を揃えているファンも少なくない。初版本はすでにお宝グッズとなっている。 |
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高 野:「以前にも、さいとう先生が『バロム1にはクヤシイ思い出がたくさんある』とおっしゃっていました
ね」
さいとう:「連載時もそうだし、TV放映もあんな形に終わらざるを得なかったのは、やはり作者としてはつら
いよ。
販売されたグッズ類のすべてを回収するか、番組を打ち切るか、どちらかって事になってねぇ。
グッズの回収はどう考えても不可能。となれば、番組を終わるしかなかった。まことに残念だった」
高 野:「超人バロム1は、仮面ライダー、ウルトラマンと並ぶスーパーヒーローであったのは間違いないで
す。だからこそ、30年経った現在でも、僕は“白鳥健太郎”と呼ばれますし、根強いファンもいるん |
です」
さいとう:「ありがたいことだよ。作品は1本でも、読
者にとっては一生なんだよねぇ」
さいとう:「おぉ、そうそう。高野君、今度ね、小説家
の高橋克彦さんと盛岡で文士劇をやるん
ですよ。
高橋さんから頼まれちゃって『あぁ、いい
ですよ』なんて引き受けちゃったら、スゴ
イ量のセリフがある役でね。セリフを覚え
るのが大変なんだな……(笑)」
高 野:「えぇっ? 先生が舞台にお出になるんで
すか?」
さいとう:「そうよ。大久保彦左衛門の役をやるんだ
よ」
高 野:「おぉ〜。ご意見番ですね」
さいとう:「最後にチョロッと出ればいいのかと思っ
たら、せっかくだからってスゴイ量のセリ
フがあるんだよ。
セリフ覚えるのが大変でね。今、頭抱え
てるんだよ」
高 野:「いつ公演なんですか」
さいとう:「11月のね、24日と25日の2日間。この文
士劇が人気でね。チケット発売2時間で
売り切れ」
高 野:「2時間で売り切れですか。スゴイ人気で
すね」
さいとう:「責任感じちゃってね。関係者でさえチケ
ット入手が難しいような舞台に出るんだ
から」
高 野:「でも、大久保彦左衛門なら先生のイメ
ージにぴったりの役ですよ」
さいとう:「うん、ちょうどヒゲを生やしてるからね」
高 野:「いや、そうじゃなくて……(苦笑)」 |
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▲さいとう先生の作品中、唯一の少年向け作品だった『超人バロム1』。名作の声も高いが、連載時から不運につきまとわれた作品だった。
TV版『超人バロム1』の放送打ち切りとなった事件をきっかけに、「この作品はフィクションであり、実在する人物・企業・団体とは……」というテロップがTVで流されるようになった。 |
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さいとう:「わっはっは! 以前にもね、チャリティーで『白波五人男』をやったことがあるんだよ。
その時はヒゲを固めて(つぶして)日本駄右衛門をやった。あの時は誰もセリフを覚えてなくてね
(笑)。プロンプター(黒子)が陰でから大声で教えてくれるんだけど、それが観客に筒抜けで……」 高 野:「そりゃまずいでしょう」
さいとう:「舞台の後ろから先にセリフが聞こえてくるんだから。
舞台の上では役に扮した私等が、黒子の声に一息遅れて、こだまのようにオロオロとセリフを言う
んだよ。そりゃもう、場内は大ウケの大笑い、大爆笑だよ(笑)」 |
高 野:「それは笑っちゃいますよ。その舞台、見た
かったですねぇ(笑)」
さいとう:「練習する時間が全然無くってね。あ、それ
でも私が一番セリフを覚えてたんだよ(笑)
あの時は職業病の手術を受けた直後で、
ダンッ! と見得を切った途端にオシリに
ジィ〜ン!」
高 野:「職業病……? オシリに……、あっ!」
二 人:「わぁっはっは!(大爆笑)」
さいとう:「11月の7日、8日と稽古なんだけど、今度
はちゃんとやるよ。それまでにセリフを覚
えんとな」
高 野:「脚本はもうお手元にあるんですね」 |
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▲芝居について語る、さいとう先生と高野浩幸。バイタリティー溢れるさいとう先生。俳優として、高野浩幸も拳を握りしめ、演技論に力が入る。が、さいとう先生の「職業病」に大爆笑。 |
さいとう:「うん。読んではいるんだが、スグに忘れそう……。私はこの2日間の稽古しかできないから」
高 野:「リハーサル無しですか!」
さいとう:「うっはっはっは! だって私は忙しいんだもの」
高 野:「う〜ん、先生、生涯現役って言葉は先生のためにあるような言葉ですね」
さいとう:「いやいや、ファンの皆さんに支えられてのことだよ。期待されている間は頑張らんとね」
高 野:「お忙しい中、ありがとうございました。先生のバイタリティーには脱帽です」 さいとう:「私も自分の生み出した作品、そこから羽ばたいた高野君に会えて楽しかったよ。
また、遊びにいらっしゃい」
高 野:「ありがとうございます。今度は(収録)スタジオでお目にかかりたいです」
さいとう:「あっはっは! そうだね」
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対談裏話 バロム1スーツ造形途中のお宝写真をご覧になって、ビックリして喜ぶさいとう先生。 撮影開始に向けて準備に忙しかった当時を思い出され、感慨深げでした。
バロムクロスをお願いしたとき、「あれ? バロムクロスってどうやるんだっけ?」とおどける先生。
『ゴルゴ13』、『鬼平犯科帳』など、コワモテ劇画作家イメージの強いさいとう先生も、30年ぶりに顔を合わせた高野浩幸に、こぼれんばかりの笑顔。
同席したAct.Staffは『無用ノ介』以来、熱烈なさいとう先生ファン。
緊張で汗びっしょりでしたが、先生のお人柄に触れ、さらに熱烈なファンになりました。 |
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Photo and Text by Yasu Kondo
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